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2024-02-05

自然のしなやかさ

竣工後半年のお庭。低木や下草が成長し、より自然らしい風景を作っていました。

一番の変化は苔が想像以上に広がっていたこと。

造園施工中、将来自然にコケがのってくるよう、黒土で仕上げた表土を踏んで硬くします。 

柔らかくふかふかな状態だと自然に落ちたコケの胞子が、雨が降るたびに土と一緒にながれてしまいます。

自然に広がったコケは、その場に一番合った強いコケです。 

竣工後の成長はあくまで「植物の力」「自然の力」にお任せします。

僕たちは、剪定や除草、お掃除、施肥など、少しだけサポートをするくらいです。

地に根をつけた緑たちの力強さには、毎回お手入れに行くたびに驚きます。

完成直後、黒土仕上げの状態
施工後半年、コケの広がった地表

もともと蔵があったところを解体し、母屋の裏の広いスペースにお庭を作りました。 

お稲荷さんがあり、園路は土を固めた「三和土」にしました。素朴な仕上がりです。

時間が経てば、この園路の端にもコケがのり、空間が一体的になっていきます。

流れに使う石は種類を変えて、上流と下流で変化をつけました。

大きな石の間や表面をつたって流れ出る、荒々しさを出した上流付近。

心地よい水の流れる音が聞こえるよう途中に小さな滝を設けました。 

水草や低木などで流れ全体を見せず、「どうなっているのかな?」と好奇心をそそることも

庭づくりのテクニックのひとつです。

下流では、角が丸く欠け落ちた川の石を使い、水面も穏やかに、最後は少し水が溜まる小池にしました。

施工中から野鳥が水浴びに来ていました。

日々の水遣りなど管理をして頂いているお施主様には、本当に感謝しかありません。

新芽が芽吹き始める春にまたお伺いできる日を楽しみにしています。

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